2000年2月18日 白煙左端 ![]()
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襲来!敵は幾万ありとても
管理人注:虫に弱い人はちょっと注意
幼いころの話です。
冬のある日、友達といつものように原っぱへ遊びに行っていたと思って下さい。
そこで何の遊びをしていたかは忘れましたが、ふとそのへんの雑草に目をやって変なものがあるのに気が付きました。
それは、茶色で2〜3センチほどのかたまりでした。
僕はそれを手に取りました。
「それカマキリの卵やでー!」
友達がそう言いました。
「うそー! じゃぁこれ孵化したらカマキリになるの?」
「なる、なるよ!」
「じゃあ、これ集めて育ててみようよ!」
無知だった僕と友達は、そのカマキリの卵ひとつから一匹しか孵らないと思い込んでいたのです。
そして、その原っぱにあるカマキリの卵を集めました。それは、ざっと2〜30個ほどあったと思います。
それから、友達とそれを分け合い家に帰りました。
でもそれを家族に言うわけにはいきません、きっと親は捨てなさいと言うでしょう。
僕は、庭の隅(借家でしたので決して広くはありません)にそれをこっそり置いてテントを上からかぶせました。
子供にとって一年が遥か長いように、僕は春になるまでの間にそのことを忘れてしまいました。
そして春が来ました。
母が、庭の草木が冬の間に枯れていてみっともないからと、掃除をすると言い出しました。
母が竹ぼうきを持って掃除をはじめました。父もいっしょです。
そして、運命のテントを父が捲り上げました。
「ぎゃぁぁぁぁー!!」
声にならない声が近所に響き渡り、家族みんなが一斉ににそこを見ます。
想像してみてください、いったい何匹いたのか?
数百万、いや数千万のちっちゃいカマキリが庭じゅうにあふれかえる様を。
母は、竹ぼうきでそれを掃き続けます。でもそのカマキリは、ほうきの上まで登ってきます。
はっきり言って手のつけようがありませんでした。
アリの大群を黒の絨毯といいますが、まさしくそれです。
でも始末の悪いことにやつらは協調性は全く無いのです。
家の屋根に登るやつ、塀を乗り越えていくやつ、カマキリ同士戦うやつ、人間に向かってくるやつ。
結局それらが庭から道路に出て、近所じゅうに散っていったのは夜になってからでした。
僕はいまだに正直にそのことを親に言ってません。
というか、言えないでしょ?
そうそう、僕と卵を分け合った友達は、幸せなことに雨の溜まるところに置いていたらしく一匹も孵らなかったらしいです。
命を粗末にしてはいけません。ちゃんと孵してあげないと・・・(笑)
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