1999年12月23日 ルナ ![]()
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悲哀!見えぬ相手を信じて
こんにちは いつも楽しく拝見させていただいております。
ずいぶん昔のことなんですけど、私にもネタになりそうなことがあったので投稿します。
社会人となって金銭的余裕ができた私は、自分の部屋に電話を引き、家族に気兼ねすること無く友人との会話やネットを楽しんでいました。
ある日のこと、当時流行していたファイナルファンタジー4をセーブして横になりました。
ゲームの疲れもあってすぐにウトウト・・・としていると、ベッドの直ぐ脇の電話が鳴りました。
もう日付も変わって午前1時。
こんな時間に掛かってくるのは間違いか悪戯に決まってますので、ぶっきらぼうに「はぁ?」という具合に受話器を取ると、電話の向こうから訴えかけるような口調で、
「もしもし?」
「ん〜?」
「もしもし」
「はぁ?」
「ヒロくん?」
私はヒロくんではありません。やっぱり間違い電話でした。
前に何度か間違えて掛けてきたことのある女の子の声です。
きっとヒロくんの番号と私の番号が似ているのでしょう。
今日は少し焦ったような、感情が入った話し方でした。 しかし、今回は夜中でもあったので、そのまま
「ちがうよ」
とだけ言って電話を切りました。
疲れていた私は、電話を切った手をベットに戻すこともなくそのままの格好で眠りに・・・
夢の中、遠くの方で声が聞こます。
鳴咽交じりの涙声で訴えかける女の子の声。それがだんだんとはっきり聞こえてきます。
「もしもし もしもし グスッ」
「ねえ、聞いてるんでしょ ヒロくんなんでしょ ウッ」
「何か言ってよぉ」
「ねえ! ズッ」
電話が掛かってきてから1時間以上経っていました。
どうやら私はガチャンと切ったつもりで、電話の隣にあるファミコンの上に受話器を置いてしまっていたようです。
スースーと寝息を立てる私に向かって彼女はずっと問い掛けていたのでしょう。
「何で答えてくれないの?」
「もう いいよ グス」
「何にも言ってくれないなら切るからね! ズズッ」
「じゃあね グッ 切るよ」
「いいの? ウッ」
ようやく気づいた私が受話器を取ると、
「じゃぁ グスッ」 ガチャ
あらら、間に合わなかった。
それ以来、彼女からの間違い電話は掛かって来ません。
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